少し離れた丘は、平地より強い風が吹いていて心地いい。
ヒーリンロッジからタークスが出て行く姿を確認すると、ヤズーが鬱陶しそうに髪をはらいながらこちらに視線を向けた。
「どうする、カダージュ?」
「あいつらとも、遊んでいいのか?」
遊びたい盛りのロッズは無視して、ボクはタークスの行方を目で追う。

タークスの連中はどうやらロッジから離れた場所に造られたヘリポートへ向かっているようだ。この丘からはその様子がよく窺えた。
ヘリポートには、神羅のヘリコプターがいくつか停まっている。
「ヘリで移動ってわけか…」
呟くと、ヤズーが肩を竦めた。
「このバイク、気に入っているんだがな…」
「取りに戻ればいいじゃねーか。どうせ、『母さん(ジェノバ)』が見つかったら、またこっちに戻ってくるんだろ?」
何も考えていないくせに、あっさりと真実を指摘するロッズにボクは薄く笑って相づちをうった。
「そうさ…。兄さんがいるからね」

タークスが乗ったヘリが上昇する。彼らがこちらの存在を知らない以上、別段身を隠さなくとも問題はない。
「…北へ向かっているな」
ヤズーが確認するように言った。
「北っていうとアレか、大空洞?」
言って、顔を歪めたロッズを、ヤズーがからかう。
「泣くなよ、ロッズ」
「泣いてねーよ!」

神羅が『母さん(ジェノバ)』の首を所有していないことは分かった。そして彼らが今まさにその首を回収に向かっていることも。
北の大空洞。
セフィロスが兄さんに倒された場所。遠い昔、母の首と共にライフストリームに身を投げたセフィロスが、辿り着いた地。
ジェノバの首は今もまだあの地で、眠りについているのだろうか。


* * *


「ヤズー」
「ああ…」
短い呼びかけにヤズーは微笑んで答え、銃口を定めた。

「うわッ!なんだッ!?」
混乱したタークスの声が聞こえる。
「なぁ、この首は、なんだ、アレだ。ジェノバだろ?」 「それがどうかしたか?」 「あのさ、ジェノバってのは、オレたちの母さんとは別の『母さん』なんだよな?」 「…まぁ、そうだが」 ヤズーがちらりとボクを見た。ロッズは彼なりに考えながら口を開く。 「でも、オレたちが従うのは、声の方の母さんで、コレじゃねえー」 「あぁ、そうさ。ボクたちの母さんは、母さんだ。これはね、セフィロスの『母さん』なんだよ。でも、ボクにとってはね、ただの首なんだ」 「俺”たち”にとっては、だ」 「そうか。そうだな。こいつはただのジェノバの首。オレたちには関係ねえ」 ↑セフィロスと思念体の完全な分離。 思念体は完全に分離することができるのか。その時は消滅?
 
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